戦国時代、武田信玄が情報通信手段として、実際にここ伊那谷で上げた狼煙を再現しようという活動が、この地域の各地で盛んになってきており、数年来、各地区を結ぶ狼煙リレーのイベントが行われています。
武田信玄狼煙会主催で、9月8日に行われた南信州12市町村22か所の大規模な狼煙リレーに、今年は地元上郷地区でも参加することになり、公民館や野底山活用協議会、野底山財産区の方々などを中心に多くの参加者が集いました。
ここ野底山森林公園内にも当時ののろし台跡があり、現在では園内散策(山登り)ルートの通過点になっています。
しかしこの日は、山奥で便の悪い野底山ののろし台跡ではなく、皆さんが参加しやすくアクセスの良い、公園近くの高台の見晴らしの良い草地で狼煙をあげることとなりました。
天竜川対岸に見える小高い峰、これは飯田市上久堅の神の峰。ここの狼煙が上がったら、今度はこちらの番です。
この日は山に霞のかかる天気でしたが、9時10分を回った頃、
見えました見えました!
峰のてっぺんから、真っ白い煙が立ち上ってきました。
朝早くから担当の皆さんが、戦国時代さながらの方法で組んだ櫓に点火。
あっという間に白い煙が上り始めました。
煙は風に吹かれてあっちへこっちへと向きを変え、なかなかまっすぐ上に立ち上りませんが、それでもそのうち立派な白煙の塊となり安定してきました。
この現場にいると遠くからの見え方がわかりませんが、対岸からはしっかりと見えたのでしょうか。
対岸で煙が上がったのを合図に狼煙をあげ、その煙を見て、また少し先の対岸で狼煙をあげる。まさに狼煙のリレーです。
これは、天竜川を中心線とした盆地が、2つの山脈にはさまれ、長い谷が続き、各々の岸に見晴らしの良い峰や段丘を持つという、この伊那谷ならではの方法です。武田信玄もなかなか画期的な手段を使ったものだなあ、とつくづく感じさせられました。
また、通信手段がこんなにも発達した現代において、歴史のかなたに葬られかねないかつての手段を、今一度体験してみようとする関係者の方々の心意気も素晴らしく、今後ますます多くの人の関わりで盛り上がっていったら面白そうですね。
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