山奥の繁殖地、池の平の沼も、園内八王子神社の池も、そろそろモリアオガエルの産卵シーズンは終わりに近づいているようです。
6月21日までは日々新たな卵塊が見られましたが、今日はもう新鮮な卵塊はなく、多くが少し色あせたクリーム色に変色し、中には半分ほど溶けてしまっているような卵塊も目立ち始めました。
池の平の沼、溶け出した卵塊。
水面に落ちているものも。
流れ落ちる卵塊と共に卵から孵った小さなオタマジャクシが、水面に落ちていっているはずです。
しかし、卵塊としてぶら下がっている最中から始まって、多くの天敵に遭遇してしまうのもモリアオガエルの運命です。
朽ちていってしまった卵塊の中にはクロバエのえさとなってしまったものもあるようです。
ハネカクシなど一部の昆虫は、卵塊の中に入り込んでまで卵を食べてしまうそうです。
また、地面に近く産み付けられたものは、ヤマカガシやイモリの餌食になりやすいといいます。
無事にオタマジャクシになって着水できたものも、やはりまた、イモリ、ヤマカガシ、そして鯉や鮒などの魚がいればそれらにも食われてしまいます。
(可哀そうなことに(?)八王子神社の池には大きな鯉が数匹、我が物顔に泳ぎ回っています。彼らのお腹に収まったオタマジャクシも多いでしょう。)
そんな天敵たちの攻撃をすり抜けて、一体何尾が無事孵化を遂げ、この沼や池で泳ぎ始めているのでしょうか。
それでも毎年親ガエルが産卵にやってくるということは、少しは生き延びているはずです。そして、そうやって繁殖期に集う蛙たちは、過酷なサバイバル戦争を勝ち抜いてきた少数精鋭隊でもあるのです。
参照:信濃教育641号 昭和15年3月号
「野底山を中心とせる森青蛙の研究(其三)」 宮下忠義
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