一つは野底山池の平の地にある沼(通称蛙沼)。
この沼は森林公園の敷地より外れ、4㎞ほど山奥に進んだ場所にあり、自由な立ち入りはできません。(管理事務所で受付をしていただいたうえで、入っていただく形になります。)
ここでは、昭和初期、大量のモリアオガエルの卵塊が発見され、
昭和7年から7年にわたり、地元飯田中学の宮下忠義先生によって調査研究がなされました。その後昭和43年には県の天然記念物に指定されています。
山の大部分が大規模に伐採され、その後広範囲に植林された野底山山域の中で、この沼の周りは、取り残されたように、植林ではない、古い天然林の残る場所です。
宮下先生の研究当時は、シーズンには100以上の卵塊が見られたようですが、 時代の流れと共に、おそらく池の形が変わったり、気候が変化したりしたのではないでしょうか。天然記念物指定当時はおおよそ20個の卵塊が見られたと報告されています。現在さらに少し減っているようではありますが、それでも、本日見に行ったところ、12個の卵塊が確認できました。
1mから2mの高さの木の枝や葉に産み付けられているものが多いですが、
中には3m程の高い枝や、水面すれすれの地面に生える草に産み付けられているものもあります。
かなりの雨が降っており、卵塊にもその水滴はしっかり当たっていました。そのせいか、少し形を崩し、今にも落ちんばかりに垂れ下がっているものもあります。
でも、特に割合新しく産み付けられたらしき卵塊は、多少の雨には型崩れすることなく、しっかりとその形を保っています。
一方で、ここ数年、新たに卵塊が見られるようになったのが、森林公園敷地内八王子神社にある池です。
モリアオガエルが繁殖するには、産卵する水場のほかに、周囲にカエルになってから生活する豊かな森や、冬季に安心して冬眠できる土の地面が必要です。
この八王子神社の池も、背後に高木低木草木が多重的に豊かに茂った森を抱えています。
きっとそんな環境がモリアオガエルに認知され、少しづつ寄ってくるようになったのでしょう。
それでも、車や人が行きかう道路のすぐ脇に位置しているからか、卵塊の数は奥の池の平ほどは多くなりません。
今シーズンは、6月頭から少しずつみられるようになりましたが、一つできてはいつの間にか水に落ちて無くなり、(あるいは天敵にやられてしまったものもあるかもしれません。)合計では12~13個産み付けられているものの、一度に見られるのは4~5個程度です。
卵塊の中の卵はしばらくすると孵化して、小さなオタマジャクシとなり、雨に流されて水面に落ちていきます。
大抵の卵塊は、水面に覆いかぶさるような枝木の先に、見事によく考えられて産み付けられているのですが、時折、親ガエルたちが慌てん坊だったのか、こんなところで大丈夫かなあ、と心配になるような位置に産み付けられているものがあります。
この八王子神社の池の卵塊も、ずいぶん高位置にくっついているうえ、真下は、水面に到達するか、はたまた岩にぶつかってしまうか、微妙なところです。
無事ジャンプに成功すると良いのですが・・・
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